サマーウォーズ

1人で映画を見たことはありますか?

 

僕が初めて1人映画を体験したのは中学3年生の時でした。

 

中学3年生の夏休みは今まで続けた部活とクラブチームの引退後でしたので毎日友達と遊んでぐうたらしていました。

 

間近に迫った受験のことをあえて無視していたようにも思いますし、中学3年間野球に費やしていた夏休みを取り戻そうとしていたフシもあったと思います。

 

プールに行き、地元のショッピングセンターでご飯を食べ、あてもなく自転車でぐるぐるしたりあの当時、僕や僕の友達はみんな受験から逃れるために孤独を恐れていたのかもしれませんね。

 

そんな中で夜更かしも毎日していました。4時くらいまでPCで音楽を聴いたり、動画を見ていたり。

ある夜、テレビをつけると来月公開の映画の宣伝をしていました。

たしかエヴァンゲリオンの再放送の前に短いコーナーとして組み込まれていた気がします。

その番組でキャイーンの天野さんが紹介されていたのがサマーウォーズでした。

 

当時は彼が細田守さんという名前で、僕ら世代が夢中になったぼくらのウォーゲーム!の監督だったなんて知る由もありませんでした。

 

家族の絆がテーマであること、オンライン上の仮想空間が舞台であることがわかり、SFやアニメに興味があった僕は見たくてたまりませんでした。

 

ただ、夏休みの予定はお盆あたりまでぎっしり埋まっていて映画に行く隙がありませんでした。

 

僕は毎日テレビをつけるとやっている宣伝を見るたびに見に行きたい気持ちを刺激されて、田舎のおばあちゃん家にいても、友達と朝から甲子園を見ていても、宿題をしていてもその悶々とした気持ちはなくなることはありませんでした。

今にして思えばパッと見に行っちゃうだけの時間も余裕もあるはずなのですが、当時はアホ中学生だし、お小遣いは月2000円でしたので1000円の出費はあまりにも大きかったのです。

それに、夏休み前半、遊びすぎて所持金はお年玉込みでも1000円ちょっとしかなかったと思います。

 

そんな生殺しの状態が二週間ほど続くともう耐えられなくなり気持ちがピークに達した日の朝、お母さんに映画を見たいからお金をくれと言いに行きました。

 

野球をやっていたのでたくさんお金を使ってもらっていたのも分かっていたし、お小遣いをもらっているのも分かっていたのですが、夏休み遊びすぎてお金のなかった僕は訴えるしかありませんでした。

服を洗濯機に放り込みながらお母さんはいいじゃないといい、あとでお金置いとくから行っといでといいました。

あっさりとお金をもらえた僕は、ルンルン気分で友達を誘いましたね。

 

たしかお盆過ぎで、僕たちの地区は一週間早く夏休みが終わるのでみんな宿題に追われていだのを覚えています。

そのせいで友達が捕まらず、ルンルン気分な僕はどうしてもその日に見たかったので近所の映画館まで1人でチケットを買いに行きました。

 

夜7時の回、中学生には少し遅い時間でしたが、ほとんど席が埋まっていて最前列しか空いていなくて、僕は最前列の真ん中の席を購入しました。

初めて1人でチケットを買うこともドキドキしましたね。

大人の階段です。

 

そして一度家に帰り、万全の状態で映画を見るために仮眠をとることにしたのです。(ここまで朝から10時過ぎ) 

 

夕方、僕は起きるとこれから1人で映画を見るドキドキに、高まっていました。

絶対面白いとなぜか確信していたのでハードルはだいぶ高かったはずです。

いざ映画館に入ると、チケットを買いに来た時とは違って見えました。

 

朝は鼻をくすぐるキャラメルポップコーンの匂いや、ふかふかしていて少し足を取られる絨毯のことなんて全然気がつかなかったのです。

いざ映画を見るために来たこの今の雰囲気がとてもムードを作ってくれて、すごくワクワクしましたね。

そしてなぜか僕は、この映画館の雰囲気を懐かしく思ってこの気持ちを大事にしたいなって思ったんですよね。 

 

アナウンスがあり、係員にチケットを見せてシアターに入り、席に着く。

これだけで感動するんですよ1人だから。

 

そしていよいよ映画は始まるわけです。

 

最前列で見るサマーウォーズの迫力は本当に凄かった。

ラブマシーンやキングカズマの戦闘シーンやおばあちゃんとみんなの絆、それが最前列から見上げているので迫力があり本当に本当に感動して涙が出ました。

 

見終わったあと、今までは映画を見たなら友達や家族と感想を言い合いましたが、その相手がいないので僕は1人で反芻するしかないんですよね。

その時間がまた大事なんです。

帰り道作品について考えて、より好きになる。

 

この時間が好きで、本当に見たい映画は1人で見る癖がついてしまいました。

 

そんな1人映画デビューの話です。

 

それでは。